第1話 運動部は受験で不利?

戦略の骨格

運動部は受験で不利だ。

これは、ほとんど常識のように言われている。

練習があるから勉強時間が取れない。
帰宅が遅くなる。
疲れて机に向かえない。

実際、自分自身も高校生の頃はそう思っていた。

周りを見ると、部活をやっていない人たちはすでに受験モードに入っている。
放課後はそのまま自習室に行き、夜まで勉強している。

一方で自分は、泥だらけになって練習をして、家に帰る頃にはもう夜だった。

「このままで本当に間に合うのか」

そう思わなかった運動部はいないと思う。


でも、ある時から違和感を持ち始めた。

本当に、運動部は不利なのだろうか。

もし本当に不利なら、なぜ毎年、運動部から早慶に受かる人間がいるのか。

しかも、特別な天才ではない人たちが。

ここに、ずっと引っかかっていた。


受験は、勉強時間の総量で決まる。

よく言われることだ。

確かに間違ってはいない。

ただ、それだけでは説明がつかない現象がある。

長時間勉強しているのに伸びない人。
引退後に一気に勉強時間を増やしたのに、成績が変わらない人。

逆に、限られた時間しかないのに伸びていく人。

この違いは何なのか。


自分が気づいたのは、受験で差がついているのは時間ではないということだった。

考え方だった。

多くの運動部は、「引退してから頑張ろう」と考える。

今は部活があるから仕方ない。
引退したら本気を出す。

この考え方自体が、すでに負けている。

受験は、最後に頑張った人が勝つゲームではない。

準備していた人が最後に伸びるゲームだ。


運動部が不利に見えるのは、ここに理由がある。

忙しいからではない。

「時間ができてから始める」という発想をしてしまうからだ。

これは部活では絶対にやらないことだ。

大会直前になって基礎練習を始めるチームはない。

シーズンが始まる前から準備をする。

でもなぜか、受験になると多くの人がそれを忘れてしまう。


もう一つある。

運動部は、努力の方向を間違えやすい。

練習量を増やせば上手くなるという感覚があるからだ。

だから勉強でも同じことをしてしまう。

とにかく時間を増やそうとする。

でも受験は少し違う。

努力の量よりも、順番が重要になる。

このことに気づくのが遅れると、時間をかけても結果が出ない。


ここまで読むと、「やっぱり運動部は不利じゃないか」と思うかもしれない。

でも違う。

問題は、運動部であることではない。

運動部としての強みを、受験に変換できていないことだ。

運動部は本来、

  • 継続する力
  • 集中する力
  • 本番に合わせて準備する力

をすでに持っている。

ただ、それを勉強に使っていないだけだ。


運動部は不利ではない。

ただ、戦略がないだけだ。

ここから先は、その話をする。

なぜ運動部が本来、受験で有利になり得るのか。

―――
▶ 次回:第2話 「運動部が受験で有利な理由」
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